薬学部の4年生の4月から研究室に配属されました。
その時の教授が亡くなりました。
85歳です。
私が研究室配属になった時に還暦を迎えてられて、直接、技術や研究のknow how を教えていただいたわけではないけれど、私の人生で初めて接した研究室の長であり、教授でした。その方の采配で、私は、今があります。
教授着任のご挨拶状をお送りした時に、誰よりも早くにお手紙をいただきました。いつもいってられたのは、トップ大学から教授になることに比べて、それ以外の大学出身で教授になるのは難しい・・・私へのお祝いの言葉だろうし、今は、プロモーションで出身大学が問われることはほとんどないと思います。
つい最近、本当にびっくりしたのは、他大学の有機化学の教授に初めてお会いしたと思い、私から名刺を出して、ご挨拶をしたところ、先方が、「僕はあなたのことを知ってますよ。教授になった時に、OO先生(今回亡くなった先生)から、XXさん(私のこと)が教授になったから、よろしく。面倒をみてあげてください」と、7年前に私が教授になった時に連絡があったとのことでした。
研究室の名前は薬剤学でしたが、生化学を専門としていて、いわゆるタンパク精製で神経栄養因子を見つけていき、クローニングが今とは隔世の感があるほど大変だった時に神経系の受容体の単離に成功し、教科書にもその内容はのっているほどです。大学内では、ずばぬけて、研究費があるラボだったと思いますが、マイクロピペットのチップは洗って何度も使い、もちろん、普通のピペットは洗って、滅菌して使っていて、ディズポのチューブもなかったです。4年生で配属されると洗物だけで毎日が過ぎてゆく感じでした。そのような状況で、実質、修士課程からは他の先生の指導を受けたので、研究について直接の指導をいただくことはなかったけれど、恩師であることは間違いありません。
ご冥福をお祈りしています。