薬学部の4年制と6年制って、私たち薬学部の教員は必死に立ち向かっていますが、それ以外の方はどれほど関心を持っているのだろう・・と、ときどき思います。
医学部にいたとき、医学部生や医師免許を持つ教員に”薬学部って、卒業生は免許はとるけど、薬剤師になるのは3割もいない”と、いって驚かれました。ブログで嘘をいってはいけないので、2010年の薬事ハンドブックを見ると、2008年の調査では、薬剤師総数(卒業生でなく、免許をもっている人で2年に1回の届け出をしている人ね)が27万人で、薬局従事者が51%、病院・診療所の薬剤師が19%でした。これを見ると薬学部卒業して薬剤師免許が必須の職についている人が7割いるので、まずまずで、3割というのは嘘つきました・・かも。
卒業時に、企業等へ就職する人が3師(医師、歯科医師、薬剤師)の中では際立って多いのは間違いないです。そんな状況ですので、国公立薬学部では、研究能力の獲得にフォーカスがいき、臨床実習の割合が医学部や看護学部に比べるとずっと少なかったわけです。それでは、今の高度になる薬剤師業務に対応できないとのことで、平成18年から6年制薬学部が誕生しました。薬剤師免許の国家試験の受験資格には、この6年制薬学部を卒業することが要件になっています。一方で、薬学部での研究者を養成するために4年制も併続しています。こちらは、4年の学部、2年の修士、3年の博士と従来の年限で、薬剤師国家試験の受験はできません(一部、例外あり)。どちらがよいかは、学生の指向によると思いますが、薬学部卒の研究者は生体のこと、物質のこと、有機合成などを一通り勉強してきているので、医学系の研究室では重宝されます。また、1つの分野を極めて、理学部卒の研究者と同様に過ごすこともできます。私の研究内容は薬学部を卒業していなくてもできますが、私個人は薬学部で勉強して卒業していてよかったな、と、思っています。さらに薬剤師免許は必要か?と問われると難しいですねえ。前任が病院薬剤部でしたらから、薬剤師免許を持っていなければ今のキャリアはなかったわけですし、研究ポストの獲得は運やタイミングもありますから、うまくいかなければ”薬剤師もできる”と、思えることは精神的健康によかったです。その分、石にかじりついても研究で。。。という気迫はなかったかもしれません。ときどき、どちらがいいですか?と尋ねられますが、私自身もよくわかりません。いつも答えているのは、ヒトが好きなら6年制に行ってもいいのではないかな。でも研究者も俗世離れしていてはできないけどね。と、いうことです。
スタバのマグカップの収集をしようか、と、最近思っています。通常使っているのは、昨年のクリスマスマグです。